年甲斐もなく愛猫と愛車と服とか靴とか
アクセサリーとかについてクダクダ書いてゆくブログ。
イマジナリー スーサイド
マニック ヴァン ヴェートーベン
ノイズ エクスペリメンタルミュージック
指揮はぼくが執る
前髪を垂れ流し 身を屈め 全身全霊を
指揮棒へ注入する
充填された生命力
電子の精子 君の卵子と結合
その奇跡的瞬間に この魂を捧げたい
生命
ぼくという現象が「これ」を書く
システマティック ストラクチュアー
ナルコティック サー・ベルリオーズ
ノイズ アブストラクトミュージック
ぼくの国歌
その歌詞に
この生命を懸ける
この詩に命を懸ける
そして君の胎内に宿る
ぼくを産み落とした
源初の泣き声
それが 国歌 第一楽章
詩という現象に
インク 一点に 力ずくで
ぼくを染み込ませる
これがぼくの歴史
紛れなき魂の 我が国歌
ここにあれ
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がらくたに音を立てた雨は
まばらに窓を濡らしただけで 止んでいた
真っ直ぐな風が一通り
花弁を泥の上に 押し退けた後だった
冬よ去らないで
夜よ
その暗がりのまま
遠くの街灯だけを残して
明日を闇のまま
ここに 隙間風のように 静かに冷たく 流し込んでくれ
老婆が聞かせてくれる童話
その惨酷な結末を
彼女が息を呑んで話し出す前に
灯りを消すとしよう
鼻につく 香の香りは もうたくさんだ
蝋燭の火の小さな息の根を ひと息で止めて
その皮肉な生態の ひと時の安息が
吹かれて横に なびいて散った 無限を描く煙に滲んで
舞い上がり
また一重 天井の染みに こびりついた
目を閉じて 臨む 海辺
遠浅
さざ波を覆う 停滞した波音の木霊が
漆黒の海辺で 夜想曲を口ずさんでいる
ピアニストの左手の薬指
あのタッチで 砂浜が泡立ちを 飲み干してゆく
幽玄
その白さを走らせる深夜の水平線
夜光虫は黒曜石のもつ沈黙に似た艶やかさを
波間に投げかけている
星々と その揺らぎの弱々しさを競うかのように
季節の節目の匂いは
街を吹き抜ける ありきたりな風に混じるように
黒い波の上を翔けてくる風には 乗ることが出来なかった
遠く鳴いているのは
警笛
硬質に冷えた夜に 破線を灯しながら渡来船が
波を 幾億の波を 一つ一つ越して
新しい日付を 名も知れぬ国から運んでくる
光の駆逐 闇が衰えてゆく
聞こえるか 夜が白む音
黒水晶の奥深い艶は衰えて
まるでくすんだ群青の油石
子守に飽きれた オルゴールの最期
振り絞った一音
冷め始めた空気に 鋭く響いて
息絶える
夜の終りと伴に
朝の始まりと伴に
息をするのを忘れるように 眠ろう
今日を明日が じらしながら焦がしていた
白昼
つむじ風 そのあとに
跡形も無く巻き上げられた 冬の砂塵
擦った瞼を 視界を 霞ませるように ゆっくり開く
振り返らずに 残してきた足音と影を追いかけて
淡い木陰から 静かに夜が 近付いていた
捩れた煙草の空き箱の傍で
うずくまって眠り続けていた夕顔が
霧雨に揺すられて
今 目覚める
目覚めろ もう一度
果たせやしない使命
霧露に溶かされて
もう一度
こわれたヴィオラ 鳴いている
海辺
マッチ棒の尖塔が燃えている
硫黄の狼煙は 吹き上げる風に紛れて
大陸まで 昨日の悲報を届けてくれる
陽光の刺激臭に 水平線は霞んで
鈍い瞼に遠慮せずに 海面を揺さぶった
海辺
針葉樹のささくれた影
うつむき加減の岸壁 仰向けて
胸の上に淡い願いを置いてみる
その柔らかさを嗅いでみる
欲深さを秘めた瞳は
潮風を細目で見据えている
風の奥にある微かな執着
陽射しが突き刺さった雲は
薄く霞んで
海に降り積もる
薄雲を透かして見える 明日
海に降り注ぐ 光の雨になって
西陽に 釣果なしの
つまらない釣り人は 焼却されてゆく
輝いて 縦長に 揺れて
鱗雲に吸い上げられる 陽炎になって家路につく
海面の幾千の剃刀の鋭さが
あざとい視線をはね返していた
音 光 匂 乱反射の中
誰一人いなくなった眩みの中
「楽園」と書かれた 看板の影が
乾ききった堤防の上
ゆっくりと
伸びてゆく
頭の周りの何処かで 蒸気機関のクランクが回り出して
ぼくの記憶を巻き上げる
だから
虫が泣いていると感じるのかい?
眉間の奥の小さな場所で読取った 過去の懐かしさに? こじつけて?
夜空の星の数を あてつけがましいノックで叩いて
瞬間 二重にぶれさせるなんて
随分ひどい頭痛じゃないか
気力で搾り出せたのは 決意でもなく 諦めでもなく
だらしない小便だけ
ああ ぼくの啜る鼻水に
あの風邪の風味が染み入ってきたら 潮時だ
「不安ってなんだろう」なんて所詮妄想は
この心臓に降って沸いた生々しいざわめきに たった今 霧散した
額の斜め上の手短な空間辺りで 蒸気機関がクランクを回している
そのスムースでもない運動音は 耳の中の渦巻を軋ませる
だから
ぼくは泣いているのかい?
奇怪なむず痒さに? 少し笑いながら?
気が付かなかったよ
そんな ぼくがおかしくて
道を行き交うみんな 器用に見て見ぬ振りをするんだね
ぼくの血液の劣化はあまりにも早過ぎるだろうに
ひん曲がった腰つきと 湾曲した左肘でベンチに絡む老人よ
あんたなんて ぼくと何ら変わらない
体の形と心の形が少しばかり違うだろうが
互いの錆びた血と 色珍しい瞳の歪さが
こんなにも粘っこく ぼくらを繋いでいる
合わせられぬ視線のすれ違いの隙間に見つけられる
衰弱が呼び寄せた同一臭
両耳の後の辺りで 蒸気機関のクランクが回って
ぼくの記憶を垂れ下げていく
思考と想像と記憶について求めたの計算式の中の代数は
極めて希少な代物だった
どおりで得体の知れない魚類にも似た不安が
よくもまあ喰い付いてくる訳だ
思考の先を行き過ぎた記憶を たらたらと垂らしては
どうせなら
少しばかりの心地良い釣果を求めて
石造りのベンチでゆっくりと 獲物がかかるまで 横になろう
本当の風邪をひくのはごめんだけど
時間切れで方向性を失った 心を落ち着かせるには丁度いい
こめかみをクランクシャフトの軸にして 蒸気機関が記憶を操る
血液の粘度を上げて 掻き集めた思い出達は
たかだか明日の朝までに 枯れることなど有り得ない
冷えたベンチでも この心臓のざわめきは冷めぬまま
ぼくは また 曙を目差す
色褪せないまま たゆとう枕木を
ひとつひとつ思い出して 乗り越えて
海面を行く列車になって
無色の眼光に崩壊した空は いまだ自転の歯車を回し続ける
微かに揺れている 渦巻いた日蝕の環に 写影機は 操られている
非具象絵画が 乱雑な閃光に 連写される
既に太陽と月は 暦を稼動させる数種の仕組の 一つずつでしかない
真円の回転が螺旋状に解れる変成は 暦法上に定められていた
短針と長針の関係性から 角度の概念が失われるころ
秒針の尖端から程遠い
針穴で慄いている動力の倦怠は 弛緩を欲し始める
暗闇の中の12音階の11番目は 13個の衛星に 守られている
13番目の月は氷の星
収縮しながら拡散して 光をこぼす星雲の只中に
過去の彼方から飛び込んだ 蒼灰色の燕星の光帯
軌道上に照らし出された 月の名は 「174123」
その正面 太陽は黒く抉られ
取り囲む 星々は 和音を溢して 弾かれる
火花が飛び交う睫毛の隙間
全ては冷えた煤に覆われ 大気は その屈折率と共に 震えている
この空間において 光は 色彩を操る技法を失った
枯れた大木の鍾乳洞に 六つの枯渇音が記された立方体が 凍えながら
幾つも転がり落ちている
鍾乳石より遥かに硬質な その立方体が一つ転がり出して
名のない音が 二三鳴る
灰色に氷結した湖面の上で 踊り子が 回転し始める
変形した爪先と か細い内転筋で 無味無臭の肉体と顔面を 回している
紅い空の下に透視遠近法を無視して
一律の高さで連なってゆく 白樺の並木道を
黒く直進してゆく過去への焦点を暈し 浮き出した時点を凝視する
一つの近視眼的意識技法は 断続的であれ
記憶を脳裏に結晶し 定着させる
幽かに波打っている絹地の波頭に 繰り返し現れる 複雑な
点 線 面 音 味 熱 匂
柔らかな想い出に似た 胸やけが甘く染み渡る
何であれ 眼前にあるものが海だと 言葉なら言い切れる
波をうけ 沖へ流されて
脳が再現以外の表現を 意識に伝えられるのは いつになるだろう
不規則に移ろう進路と方位は 現在と未来を 同時に 複数の回転軸で
ぐらぐらと立体的に 回している
近付かず 引き寄せず
滾々と現れる事象が 言葉では表せない 色彩の証明を 時間を用いて 綴ってゆく
パンクした ぼくの可愛い自転車
引きずって 帰り道
墓地の門の前で佇んでいた 女の子
荷台に乗せて ガタンゴトン
タイプライターのキーだけが不満の吐け口
「ぼくは大詩人になる」なんて大口が口癖
そんな ぼくは
キーツとイェイツに憧れる文学少年
そんな ぼくの
左手首の傷痕を指差して
クスクスと笑ってシーツと戯れて
嫌悪と慈悲を一つに溶かした
その 苦々しく甘ったるい 眼差しで
軽々しく 彼女は言った
「安心には もう飽き飽きね」
重々しく ぼくは言った
「不安には もう飽き飽きだ」
ジェイムス ディーンより魅惑的で
オスカー ワイルドより知性的な子
「今夜は帰りたくない」
その夜 ぼくは 教えてあげた
刺し込まれる苦痛の後の刹那的な快楽を
「今はこんなにも暖かさが 心地良いけど
いつかまた この感じも
くだらない安心に 変わってゆくのかな」
快楽を得る方法と その仕草を
一つ一つ教える度に 彼女は
ぼくから一つ一つ 心を奪っていった
最初に奪われたのは
懐疑心
次に奪われたのは
羞恥心
その次は
執着心
「生きていくのに こんなにも心が必要なんて
なんて臆病で醜いんだろう」
可愛い自転車 ガタゴト ガタゴト
パンクしたまま二人乗り
町を抜け 息を切らせて 夕焼越して
丘を越え 息を切らせて 夕闇抜けて
ずっとずっと 何処までも
ぼくは
生きてゆくため以外 彼女なんて
必要としていない
手に手をとって生きてゆこう
彼女は
死んでゆくため以外 ぼくなんて
必要としていない
手に手をとって死んでゆこう
凍死した 小さな詩人の 白い体
大きな瞳の鋭さで 守ってる
あの子は 一度も
「愛してる?」って聞かなかった
心に茨を持つ少女
素早く黒く内転する北風。
見え隠れしている
耳と口の部品である言葉の
調律が乱れたままの
時間の音階。
銀と黒の液体が出会う不純なる海峡
沸き立ち割れる泡の痛み
混合物は衝突し分離される 何度も
スプーン一杯のきっかけの中
打っては返す アルミニウムとカルシウムがぶつかる
くぐもった硬い音。
私は行くに違いない 素足で また触れるに違いない 裸で
二つに分かれる前の 単一の要素を嗅ぎ求め 素顔で
苦痛と快楽の
解答と混乱の 未来と過去の。
ほとりには永遠に焚火が燈る 私が合図しない限り
振られ続ける黄金色の掌 あの岸辺を目差して
流れてゆく 私の自身
海面に咲き乱れる紫陽花のような太陽達を回転させる
色彩を幾筋も曳航して。
願いを込めて 投げ入れた錨のように 飛び込んだ
光の鎖が 欲望の起源が 逆らう泡に揺らぎ続けて
そして私はまみれた 新しい境の彩 オウロラに
スプーン一杯の 海の中で
結局 何をも求めることを手放した。
私が吐息を舌に絡めてストローで吸い上げる塩基の海
私は体温で沸かした絵空事を啜っている
この小さな海洋を構成する複雑多数の物質を
体液に 一つに溶かした。
ここで
私は子供のように夢中になって 乾いた唇の皮を剥ぎ続けた
無邪気に
私は子供のように夢中になって ささくれた親指の皮を剥ぎ続けた
滲む赤に
舐めたこともない鉄の味 この海で赤錆びた 花
高鳴って この血潮 薔薇の錯乱 花びらの 噴出する 胸の奥の海溝。
海底の銀の水仙が金の喇叭で赤い音符を吹いた
コンパスが描いた譜面のとおり
今 白鯨が吹き上げた 朝陽に輝く潮に乗って 見下ろした
ユニコーンの足元に光る青い鉱石のシャンピニオン
旅人の集うオアシスに湧く水銀
朝陽を見続けて両目を焼かれた賢人の涙の色。
冷たい景色
この冷え切って
壊疽を起こした下半身は青い斑点付きの乳白色 もう引きずるしかない
まだ ぼくは両足を失いたくない 父さんと母さんからの授かり物 大事な体
「あの重荷を引きずる宿命を 誰が蝸牛に負わせたか」
烏貝の内臓が蛞蝓のふりをして笑っている
刺々しい岸壁にすら居場所のない
ぼくには まともな居場所がない この足で 行き場所がない
「誰か 誰か」
「こんなところに翡翠がいる ほら 声で分かる
父さん 母さん すごいよ ほら 」
海を見たことのない兄さんが
流れて遠退く ぼくの呟きを笑っている 埃のような小船の上から
夜鷹のように 甲高い 奇声で。
此処を抜けたら 其処は何処だろう
海を振り切って 空に潜り込む
私を抜けた ぼくの場所
思考すら近付けない 移動の行末
私はもう ぼくに 追い付けない
誰の航海図にもない 回航
私の後に残る波跡は ぼくを孤独に幸せにしてくれる
色彩と温度で「帰ろう」と言いながら。
はじめに 言っておく
これから 乱雑で 長く 暗い 旅が始まる
生き急いでいる奴は
目を閉じて 耳を塞ぎ 無言で 通り過ぎろ それが無難だ
鼻を突く薄荷の刺激で辛く現れる
細い影 翻る
空白に輝く黒は 鋭く描かれる文字列の指定色
黒檀のように輝く星が 渦を巻いて黒々と燃えている
黒髪の太陽神が流す 黒い涙 暗い沈黙が
吸気 圧縮 (上死点) 爆発 (下死点) 排気され
一連の四拍子 心地好い鼓動となる
黒い肌の天使 V型の燃焼機関 鋏の翼の金切声で空を切る
その空間は 光速で切り裂かれ 粒子帯域として 微分される
そこに舞う 透明な粉塵を何度も吸気し 青ざめた煙塵を幾度も排気する
暗黙の羽ばたきは 連続する
黙示が発する 静寂の重量を 燃料にして
私は燃焼する
内の肉から 表の皮までも広がる
流れる黒い炎の乗り手 黒ずんだ血液が
全身を 熱く 甘苦く 焦がして 疾る
紺色と 緋色の 血管
蒼い炎と 紅い炎が 絡み合う
その二重螺旋を 密に 紫に 捩じれさせる熱量は
体外で 解れる黒煙の 指向性を定める
目蓋を閉じ 黙し その狼煙の意味を
ずっと 言葉で追う 追い詰める
一つの星が死んで 星座の壷が欠けた
瑞々しく こぼれ落ちてくる 星の屑が
大地を 赤く焼き
海原を 黒く焦がし
街々を 灰で包む
仮初の冬に立ち並ぶ 木立の影が 次々と 無色に揮発する
無音で射してくる 純潔な放射能を 光の雨と浴びて
ああ
白樺の裏庭で ブランコが黒い焔に包まれて
白と黒の 交錯の中に現出する黄昏
遠くまで 甲高く 揺れる燃焼音
暗く燃えたまま 南風に背を押され
振り子のように いつまでも 振られていたい
黒い
黒い蝶が 真新しい紙幣のような その鋭い羽から
若罌粟の鱗粉を 火薬のように さらさらと零して
おお
黒く巨大な箒星が 斜めに落ちてくる
暗黒の放射帯を引き連れて その闇に浸れば
傷口を潤ませた 腐った通草の甘味が舌に絡まる
黒い悪寒が 濡れた刷毛で 身体中を 真黒に塗ってゆく
黒い静穏の 冷え切った重さの美味よ
瞬きの間 濡れた瞳の水面に響いた 私の為の葬送曲
なんて奇怪な音楽だろう 全ての旋律が
アルミニウムと血と硫黄と鉄とカルシウムとアルカロイドCと
マグネシウムとTHCとの複雑な衝突音で 繰り返し重奏されている
臓物 筋肉 脊髄 脳幹
それら 肉体の終末が 今 祝福され 昇華する
だが
この精神は どうだ 医薬廃棄物として
ガスマスクを被り 耐放射能のスーツを着た
潔癖症のシスター達の手で 鉄条網の茨の上に
信心という黒い業火で炙られ 高々と掲げられているじゃないか
異端の心を 敬虔な心で 誇らしげに 辱めていやがる
ナーコティックな視線が 舞う
石のように硬く実直に 中空を 舞う
その舞踏を 笑う 怜悧な狂笑 道化師のそれで
壁に描かれる 見覚えのない顔 その無言が
おかしくてたまらない
ほら その顔 それ そのこけた頬 その円らな瞳
その 緊張した 艶の無い唇の結び方
痺れとは 正確に 言うまでもなく電動だ
なんという震えだろう 指が手が 微細に
振動する この娯楽を 満喫する
これは 悦楽だ
その悦び 一連の身体反応を 試行錯誤により言語的に解釈し
それを ここに提示 詩としての表現とする
思惟蓄積の 解放からくる 脳内神経の圧迫感
柔らかい 眩暈に似た 快楽よ
私の貪欲な 表現欲を 飽きるまで 満たすがいい
醒めという特殊な 思考時間帯の奥深く
未だ靄のかかった空白 無意識を
見透かす時 その視線の通過音に 切り裂かれ
数千の記憶が 細やかな破片となり 飛散して 輝き
脳裏に 映像化 高速転写される
この不規則極まる視覚的諧調を この詩の律動としよう
ディジタル化されたディジリドゥの唸り声が舞台に響く
「ON」そう「然り」と鳴る
不定加数の変拍子に合わせて踊る音像
催淫性のストロボが目蓋の裏に 激しく点滅
スネアに擦れる煙いブラシ音が導く 長大な脳内神経回路
毎時初期化される0と1からなる情報伝達組織の反乱
ミニマムなディスソリューション
自意識は所詮 物知らずの警官だ
自我はたかだか 頭の硬い官僚だ
どちらも裏取引と 黴臭い仕来りに守られて
権力操作を盾にする 巧妙精緻な権力者
こいつ等はいつだって 自由を求める脳内暴徒の宿敵だ
脳皺を刺激し続ける
羽ペンの先端より鋭利 注射針の銃口より微細な 物質で
何度も 何度も ただ 繰り返す
そして 遠く 微かに 見える
覚醒と酩酊の波間に漂う 真理の蜃気楼という名の狂気
その曖昧な輪郭を その不確かな実像を
言語感覚=知覚で認識し 保存する
後に反芻を心地好く味わう為
幻像のデータ形式変換は 正確な執着で
且つに執拗に 行わなければならない
「刮目しろ 耳を澄ませ 息を整えろ」
表現を突き詰めてゆく時 何らかの神秘性や宗教性を辿り
それらを通過していくことは いつの時代であれ
創作上 稀なことでも何でもない
その目前で 後込みしてる お前は
もう二度と 私の詩に 触れることはないだろう
耳の形を 真似て 眠る
私にとって 胎内は 既に 故郷ではない
記憶の資源としての故郷にこそ 要件がある
時間に対して こうして 化学的に記憶を逆流させることは 即ち
自らの根源への旅に他ならない
多く 実に 多くの 旅をした
それらを 纏めた旅記こそが 私の詩集
私にとって詩作とは この生命活動において
最期まで 継続されてゆく 唯一の事業だ
---
プロフィール
HN:
ユキオ
性別:
男性
職業:
酔いどれ船乗り
趣味:
猫いじり ベスパいじり 古着屋巡り
自己紹介:
リアルにマダオ。
悲観的快楽主義。
悲観的快楽主義。
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